ホーム活躍するOB・OGたち  第32回

第32回 日々の治療をこなしながら研究を続ける獣医師

農獣医学部獣医学科(現・生物資源科学部獣医学科)
昭和62年卒業
マーブル動物医療センター 院長 難波 信一氏

卒業6年後に開業。今では獣医師8名が勤務する国内でも有数の動物病院となっているマーブル動物医療センターの院長 難波信一氏にお話しを伺いました。 難波先生は開口一番「今も学生ですよ」と言われましたが、それは・・・


マーブル動物医療センター

進路はどのように決めましたか?

高校生のころは、進化論やサルの研究がしたくて、理学部の動物学科を受験しようと思っていました。
丁度その時期に飼っていた犬が亡くなり、それがきっかけとなり獣医の道を選びました。 獣医学科卒業後、大学院へ行って研究をしたかったのですが、経済的な事情もあり動物病院へ勤めました。
2年間勤めた後、日本大学で助手になりました。そしてアメリカの獣医学を見ておきたいと思い、数か月間アメリカへ渡った後開業しました。

今も学生とはどういうことですか?

生物資源科学部の大学院へ2014年4月に入学しました。それで今は大学院の学生です。生化学、分子生物学研究室で研究しています。
博士号を取得したいと思っていますが、これは研究を進めていく上での免許と考えています。取得する過程で研究方法や考え方を学び、さらに研究を進めていきたいと思っています。

規模が大きな動物病院ですがどのように進んできましたか?

開業当初は15坪の診療所で、一人でやっていました。 その後50坪の広さになり、手伝ってくれるスタッフも増え、2010年に今の建物になりました。
医院を大きくしようと思って進めてきたのではなく、目の前の治療を懸命にやり、患者さんが望んでいることに応えたいと思って進めているうちに今のかたちが出来上がってきました。


広い待合室


センター内にある研究室

設備もCTをはじめ、人の総合病院なみの設備ですね。

良いものを使って良い結果が得られるならそうしたいと考えています。
CTは最初のものは2003年に入れましたが、これにより今まで見えなかったところが見えるようになったので治療におおいに貢献しています。
そのように目の前の治療に最善をつくそうと思ってやっているうちに機材もそろっていきました。


国内でもまだ導入の少ない動物用のCT

猫のための、猫だけの診療時間というのもユニークですね。

元来猫は犬がきらいで、犬がいると緊張してしまいます。そこで猫だけの診療時間を作っています。
国際猫医療学会(International Society of Feline Medicine ISFM)という学会から国際猫医療学会認定のキャット・フレンドリー・クリニックの認定を受けています。


猫専門の入院室


犬の入院室

学生時代はどう過ごしましたか?

3年生までフォークソング部にいました。フォークソング部といっても皆演奏している曲はロックでした。
私はボーカルとギターを担当して、年2回のコンサートを開いたり、コンテストに出たりしました。
3年生の後半は研究室に出入りするようになり、そこからは研究一筋です。

校友とのかかわりはいかがですか?

日本大学の獣医学科卒業生には角笛会という会があり交流を深めています。
若いときは目の前のことで精一杯になり、なかなかこのような会に参加出来ない人もいますが、若い人たちにはもっとたくさん参加して欲しいと思っています。
何か一つ皆が共感できるようなイベントがあれば、それを目指して集まれるので何かないか今頭をひねっているところです。

これからやりたいことはありますか?

研究はこれからも続けていき、この研究があったから今のこれが出来たというような成果を残したいと思います。
病院の経営面では労務改善を行いたいと思っています。獣医師の職場は激務になりがちなので、まずは自分の医院から週4日勤務の体制が取れるような環境を整えたいと思っています。そのようにすることで獣医師を取り巻く環境も良い方向へ変わっていくと思います。

訪問を終えて

病院を経営しながら大学院で研究をすることは大変な労力です。しかし、日々の臨床での経験を知見として基礎研究に生かせる人は限られています。今後もそれが出来る希少な研究者として活躍されることと思います。

医院紹介

マーブル動物医療センター
住所:藤沢市石川4-1-6
TEL:0466-86-2080
ホームページ:http://www.mvcj.com/
診療時間:AM 9:00~11:30 PM 16:00~19:30
診療日:年中無休

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