ホーム活躍するOB・OGたち  第18回

第18回 神奈川県内の建築設計を長年リード。後輩を引っぱり出すのも先輩の役目と思っています。

理工学部建築学科 昭和43年卒業
株式会社金子設計 代表取締役会長 金子 修司
団体役職
 公益社団法人日本建築家協会会員 JIA神奈川 相談役
 一般社団法人日本建築学会神奈川支所 役員
 一般社団法人神奈川県建築士会 理事
 横浜市建築設計協同組合 理事長
 神奈川県設計協同組合連合会 会長
 NPO法人横浜保全センター 理事長

日本大学の出身者で設計・建築関係の仕事にかかわっている人たちは多くいます。一級建築士の合格者数も格段に高く、平成25年の合格者は212人と2位の大学が130人であることから他を大きく引き離しています。
そのようななか、一級建築士の資格を取得し40年以上建築家として活躍されてきた株式会社金子設計 代表取締役 会長 金子修司氏からお話しを伺いました。
金子設計事務所は1957年に設立され50年以上にわたり神奈川県内を中心に多数の建築にかかわってきました。


住宅街の中にある設計事務所

進路はどのように決めて進みましたか?

金子設計事務所は設計家だった父親が設立しました。そこで育ったこともあり小学生のころから設計家になると言っていたようです。
そうした環境でしたので、大学は建築学科へ進み一級建築士の資格を取ることも当然のことと思っていました。
卒業後は日本でモダニズム建築を実践した坂倉準三先生の坂倉建築研究所へ勤めました。坂倉先生は神奈川県内では鎌倉の近代美術館や横浜のシルクセンター(現シルク博物館)を設計した建築家です。ここで得た先輩、同僚、友人達との交流はその後も大きな力となっています。
研究所へは2年間勤め、一級建築士の試験に合格しました。試験には早く通りましたが、世界的にも有名な建築家になった山本理顕氏も当時同じ大学の仲間として一緒に勉強しました。大学での仲間との交流や勉強が卒業後にも様々な面で役に立っていると実感しています。

現在の仕事についてお話下さい。

私たちの事務所では神奈川県内の建物を設計するケースが多いですね。
県内の警察署や消防署、学校なども手がけていますが、最近では神奈川大学の横浜キャンパスも手がけました。
今事務所にはスタッフが20名いますが、なるべく神奈川に住んでいたり、関係のある人を採用しています。これは設計するときに、その場所のロケーションや昔のことも知っている、つまり、空気感を生活の中で感じられ共有できている事が設計に役立つと考えるからです。
ところで、「士」のつく職業は弁護士、医師、建築士が有りますが、弁護士と医師には困ったときや、具合が悪くなったときにお世話になるのでクライアントはなんとかお願いしますと下向きになっていますね。ところが設計士のところへ依頼する時はこれから建物を建てようと積極的で高揚感を持っています。話をしていても前向きで面白いですね。我々も設計するまでにクライアントとは希望を聞いたり、こちらの経験を話したり、いろんなことを話し合っています。


神奈川大学横浜キャンパス 3号館


おだわら総合医療福祉会館
※写真は金子設計で手掛けた建物です。

学生時代はどんなことをやっていましたか?

部活動では建築史研究会に入っていました。ここの活動は徹夜で建築論を戦わせたり、京都や奈良の日本の歴史ある建築物も見て回りましたが、卒業後も大変役に立っています。研究会で知り合った人たちとはもう50年近く交流しています。
また、昭和43年の卒業生で「43(よんさん)会」という会を作っていましたが、これは日大の建築関係の学部出身者が集まって交流し、大変面白い会でした。ただ、皆さん現役を退く年代になってきたので2年前の集まりを最後としました。
こうやって昔のことを話していると当時は輝く未来があったことを思い出しますね。

校友との交流について感じていることをお話し下さい。

建築関係に日本大学出身者も多いので、交流を重ねることで仕事の面でも役立つことがあります。県内で建築関係にたずさわっている人たちが集まって桜建会という会もやっています。
一人で設計事務所をやっている人たちもいますが、建築の仕事は設計や施行に多くの人たちがかかわって初めて成り立つものです。一人でやっていないで普段会えなかったような人たちとたくさん交流するよう後輩たちを引っぱり出しています。


都筑スポーツセンター


西部総合職業技術校
※写真は金子設計で手掛けた建物です。

これからやりたいことをお話し下さい。

私は会長として大きな視点から事務所を見ているつもりです。信頼できる所長以下良いスタッフに恵まれていると感謝しています。一方で数年前に起きた耐震偽装の問題で設計士の信頼が揺らいだことを大変危惧しています。この事件は我々からすると全く考えらないことですが、これを契機に規制が厳しくなっていることもあります。しかし、建築というものは創造性を具現化することに原点があり、規制ありきで進めると創造性のある建物が建たなくなるといったことも起こってしまいます。
今、いろいろな団体の役職を務めていますので、社会への発信をする機会もあります。その都度、設計士への信頼を取り戻せるようなお話が出来るようにつとめています。

訪問を終えて

耐震偽装問題のようなかたちで設計士への信頼が低下すると、今まで建築家の責任でやれていたことが出来なくなってしまいます。ここを危惧して信頼回復に努め、大所から若手の建築家をサポートしていこうという熱意に感銘を受けました。

会社紹介

株式会社金子設計
URL : http://www.kaneko-arch.com/
住所 : 横浜市磯子区西町5-11
TEL : 045-761-5555

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