ホーム活躍するOB・OGたち  第46回

第46回 経験が活きる充実のセカンドライフ

金子茂文氏日本大学法学部 経営法学科 昭和47年卒業
元横浜市消防局 都筑消防署副署長
農業(金竜園)
株式会社KSP・EAST 防災指導課長
鉄町内会長 金子茂文氏

横浜市消防局を定年退職後、農業に従事しながら警備会社で防災指導を行い、町内会長もつとめる金子茂文氏。育てたキャベツを東日本大震災の被災地へ送る活動を10年間続けてきた実績は新聞誌面にも大きく取り上げられています。忙しく充実した日々を送る金子さんにお話しを伺いました。

どのように進路を決めましたか。

将来教員になるということも考え、日大高校(日吉)から法学部へ進学しました。
在学中に教職課程を修了しましたが、教員試験より早く消防局の試験があり、そちらを受けたところ合格しました。体を動かすことが好きだったのと、横浜市で勤められることから横浜市消防局へ就職しました。
消防局では最初、特別救助隊に配属され、3年間いました。その後は指令センターや消防学校へ行きました。消防学校で6年間教えた後、消防庁の消防大学校へ2年間出向し、助教授として全国の消防職員の幹部候補生に教えています。

梨園をはじめたのは30年ほど前で、消防局に勤めているときです。国の減反政策の関係で、実家の農地を一部梨園に変えました。普段の面倒は父親がみていましたが、剪定などの主だった手入れは私が土日にやっており、休みがなくなってしまいましたね。 消防局を定年した後は、勤務先として警備業務の会社で警備の人たちに防災を教えています。

畑仕事をする金子さん
梨園の他に田んぼと畑の耕作もしています

学生時代はどのように過ごされましたか。

入学したのが丁度日大紛争のときで、6月から学校は閉鎖されました。2年生になってから学校へ行けるようになりましたが、夏休みはずっと補講です。2年分の授業を1年間でやったかたちです。

当時はアルバイトもよくやりました。富士スピードウェイの警備や、スケート場の貸靴、デパートの売り子など、友達がアルバイトを見つけては紹介してくれました。
アルバイトで貯めたお金は旅行に使いました。北海道から南は屋久島まで。当時沖縄はまだ返還前だったので行ってません。国鉄の周遊券でまわって、ユースホステルに泊まる旅です。当日予約したら泊まれないこともあり、そんなときは駅のベンチで寝ることも何度かありました。

展示コーナー
大さん橋国際客船ターミナルに展示された被災地支援活動

今の仕事について教えて下さい。

10年前に消防局を定年退職し、梨園に専念しようと思っていたのですが、防災についてわかる人が欲しいという話しがあって、警備会社の(株)KPS(旧・国際警備(株))へ週3日勤めることになりました。そこで警備の人たちに防災について教えています。

今はKPSの仕事を週2日ほどしています。教える立場なので消防法は常に新しいものを勉強しています。先日起きた二酸化炭素消火設備の事故なども、背景を調べて教育に役立てています。ぼうっとしていられないので、頭の活性化で自分にとっても良いのかもしれません。

地元の小学校からも要請を受けて、1、2年生には野菜づくりを教えたり、小学校で行う「防災」「いのちの授業」では救急救命の経験をふまえた話しをしています。
教員試験より先に消防の試験があったことが消防へ行くきっかけですが、今も消防局時代の経験を必要としてくれる人たちがいるということもあり、消防へ進んで本当に良かったと思っています。今思うとあれが人生の岐路だったのですね。

金子さんは生まれ変わったらもう梨園はやらないと笑いながら話されました。1年を通して70~80本ある梨の木の管理はそれだけ大変なことのようです。

東日本大震災の被災地支援を長く続けられたのですね。

神奈川新聞
金子さんの支援活動を詳細に伝える神奈川新聞

定年退職後、農業に専念しようと思っていた10年前、はじめてキャベツを植えることにしました。そのキャベツは2月になっても育たないので、止めようかと思っていたときに東日本大震災が起きました。4月になるとキャベツはどんどん育っていったので、被災地の支援に役立てられないかと考えました。消防大学校の教え子が気仙沼の消防長になっており、相談したら避難場所での食事に欲しいという話しがあり送ったのがはじまりです。

翌年には避難場所は解散していたので、他に必要としているところがないか校友の神奈川新聞社の人に相談したところ、小学校で欲しいということになり、毎年贈ることになりました。いつも200個位送っていますが、発送には人手が必要です。神奈川新聞社の方にはいつもボランティアで箱詰を手伝ってもらっています。

ランチタイムニュース
送り先の小学校でもその由来を紹介

校友会について一言。

大学時代の友人とは今もつき合いがあります。私の場合、日吉のときからですね。先日新聞に載ったときも「元気でやってるね!」とたくさん声をかけてもらいました。今も校友との関係は大事にしています。

これからやりたいことをお話し下さい。

コロナ禍で町内のイベントは何も出来なくなっています。町内には子どもたちもたくさんいるので、コロナがあけたらまず町内が明るく元気になるようなことをやって行きたいですね。

訪問を終えて

今も勤めに出ない日は、暑い日も寒い日も朝早くから梨園と畑に向います。そして週2日は出勤する毎日。悠々自適という言葉とは無縁のようですが、金子さんとお話しをしているとその言葉がピッタリ合うように感じます。それはおそらく充実した日々を送られているからと思いました。
勤務する警備会社(株式会社KSP)では求人募集中とのこと。興味のある方はお問合せ下さい。

会社紹介

株式会社KSP・EAST(ケーエスピー・イースト)
住所 :埼玉県さいたま市浦和区高砂 2-3-18(セキモトビル3階)
TEL:048-815-5660(代)
ホームページ:https://ksp-kokusai.co.jp/east/

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