ホーム活躍するOB・OGたち  第53回

【第53回】地域密着をコンセプトに、身近に頼れる法律事務所として法律サービスを提供

前島綜合法律事務所の前島 憲司所長法律学科 平成元年卒業
弁護士法人 前島綜合法律事務所
所長 前島 憲司氏

前島綜合法律事務所は2004年に厚木でスタートし、以来、地域に根付いた法律事務所として幅広いサポートを提供しています。現在、神奈川県内の2か所を拠点に若手からベテランまで弁護士8名、スタッフ13名を擁してします。人と人のつながりを大切に地元の人たちからの信頼もあつい前島憲司所長にお話をうかがいしました。

日大への入学や進路はどのように決めましたか?

前島綜合法律事務所が入る
本厚木駅前にある事務所(2階)

父が弁護士だったので私も父の仕事を継ぎたいと思っていましたが、私が高校3年の11月に父を病気で亡くしたことでその思いはいっそう強くなりました。
進学については司法試験に強い大学を受験して受かった一つが日大だったからなのですが、父も日大出身で縁のようなものを感じます。

私は弁護士を目指して4年間、法職課程で学びました。当時、法職課程には100人ほどが在籍していたのですが1年目、2年目と脱落していき、最終的に残ったのは10人にも満たないくらいでした。実際に司法試験に受かったのは私の卒業年次では私のほかに1人だけだったと思います。

どんな学生生活を送られましたか?

司法試験の受験予備校に通っていたのでゼミにも入らず、部活やサークル活動に打ち込むということもなく、ごく普通の学生だったと思います。ただ、旅行が好きだったので海外旅行に1人ででかけたりしていました。

4年生になると授業が週1回くらいになるので1か月くらいかけて沖縄から台湾、韓国と1人旅をしました。スカイメイトで那覇まで行って沖縄観光をして、那覇から台湾へ船で行き、台湾でソウル行きのチケットを買い、宿も飛び込みで決めてと、『地球の歩き方』を片手に綱渡りのような旅でした。当時はインターネットがないので電話で申し込んだあとにチケットを取りに行ったりと時間もかかり、すべて自分で手配するとなるとたいへんでした。懐かしい時代です。

司法試験合格までの道のりをお聞かせ下さい

前島綜合法律事務所の入り口

大学卒業後すぐの司法試験で不合格だったのですが、このときに「この試験は短期間に受かるような生やさしい試験ではない」ということを実感し、腰を据えてじっくり取り組まなければいけないと思いました。将来の不安もありましたから、仕事に就いて働きながら受験することを考えました。

司法試験の勉強が活かせる仕事を探したところ、裁判所職員の裁判所事務官が適職だとわかり、すぐに願書を提出して7月に受験して11月に合格通知が来ました。当時、裁判所は人手不足で明日からでも来てほしいとのことだったので、11月から八王子の裁判所で働きだしました。その後、キャリアアップを目指して裁判所書記官の採用試験を受験してこれは1回で合格しています。裁判所書記官になるためには裁判所職員総合研修所で1年間研修を受けなければいけないのですが、当時、140人くらいの研修生がいてその中で今現在、司法試験に合格している人は1割くらいです。

私が司法試験に受かるまで裁判所に約12年在籍していましたが、そこでいろいろな人と出会い、さまざまな経験を積みました。意外だったのは大学時代には知り合えなかった日大の同級生たちと出会えたことです。切磋琢磨している姿に刺激を受けたり、お互いに励まし合ったりとよい出会いでした。

予備校にも通いましたが、仕事のあとは疲れて頭が働かないので土日に集中して勉強する体制でのぞんだのですがそれでもなかなか結果がでませんでした。ただ、合格する3,4年前になるとコツみたいなものがわかってきて、それは司法試験は学問研究ではなくて試験なのだから、当日出題された問題ができれば合格できるということなんです。司法試験は6科目あるので、6科目まじめに学問研究して真理を究めてから合格しようと思ったら、一生かかっても受からないのかもしれない。このことに気づいて予備校の予想問題や答案練習会の問題など過去問を徹底的に攻略して出題されそうな問題に絞って山をはるという戦略に変えたわけです。そうしたら3回目くらいで受かりました。

ただ、それまでの道のりは長く、論文は4回目で受かったものの、択一が苦手で初めて受かったのは6回目でした。出題の癖のようなものが年度ごとに変わることもあり、連続して択一が受かる年もあれば、翌年落ちたりということもありました。

現在のお仕事について

事務所の相談室

平成16年10月に本厚木に事務所を開設して、平成23年に相模大野駅前に新たな拠点を設け、弁護士は厚木に6人、相模大野に2人と8人体制で対応しています。

弁護士業務については交通事故、相続、離婚、債務整理がメインです。とくに交通事故の示談交渉や遺産分割の相談が多くなっています。交通事故は保険会社から受ける案件もあって件数が増えており、扱う件数が多くなると自然に得意分野になっていきます。

今事務所には日本大学出身の関係者が4人います。私を含め二人が法学部で、後の二人は日大のロースクール出身です。

校友会に参加されたきっかけは?

厚木桜門会だったと思います。最初にロータリークラブや商工会議所に入って、地元の方からいろいろ声がかかるようになって、厚木桜門会もその1つでした。日大は校友会活動が盛んで卒業後もOB同士のつながりが密なので人脈を広げるという意味ではよい大学だと思います。

最近はロータリークラブもそうですが、若い人の参加が少ないのは残念ですね。すぐに仕事につながるというわけではないのですぐに結果を求める若い人にはまどろっこしいのかもしれません。いろいろな行事に参加して係や役を任されて信頼を得ていかなければいけないのでそれなりの時間はかかりますから。

お仕事の合間に楽しみにされていることはありますか?

事務所の応接

鉄道が好きで「いい旅チャレンジ20,000㎞」という1980年から10年間続いた国鉄のキャンペーン(当時242線区あった国鉄全旅客営業鉄道路線の完乗を目指すという企画)があって、その頃、42線区あった北海道のローカル線を全線制覇したこともありました。

鉄道ということでは新型コロナが流行る前ですが、岡山で司法修習生採用の面接の仕事があったので、“青春18きっぷ”を使って12時間かけて行ったことがありました。修習生に各駅停車で来たといったら「学生みたいですね」と驚かれたこともありました。安いということはもちろん、風景も見飽きないし、なににもわずらわされずに考えごとをしたり、普段なかなか見られない学者やジャーナリストの動画配信などを見ていると全然退屈しないんです。

5、6年前に大型の自動二輪の免許を取って中古のハーレーを買いました。きっかけはロータリークラブでドライビングスクールの社長さんと知り合い、そこで大型の免許が取れると聞いたので学生時代から30年間、取れずじまいだった大型免許に思い切って挑戦したんです。

これからの展望についてお聞かせください。

事務所内

地方都市というのは大都市に比べて需要は少ないですが、供給も少ないので事務所をつくりやすい環境です。経営的なことまでできる人がいたら東京や八王子、そのほかの地方都市も含めてあと3か所は拠点をつくりたいですね。

昨年、行政書士登録をして行政書士の事務所の設置も考えています。弁護士では依頼しにくいけれども行政書士であれば依頼しやすいという案件があって、たとえば、外国人の入管業務は弁護士資格でもできますがほとんどやっていません。そうした分野は行政書士資格があった方が断然有利なんです。2年くらい前に採用した行政書士の方は営業力もあって、今後は行政書士の周辺業務を発展させて弁護士業務と結びつける活動にもつなげていけるのではと期待しています。

弁護士の方の募集もされているとうかがいました

事務所内の前島 憲司氏

この地域で弁護士をやろうという人は少ないのですが、興味がある方は事務所見学だけでもよいのでぜひ足を運んでください。事務所の経営と弁護士業務の両方やりたいという方はとくに歓迎です。集客の方法などはこちらで教えますので事務所の運営も面白いと思って取り組んでくれる方であれば最適だと思います。

昔の弁護士は事務所にいるだけで仕事が舞い込み、左うちわだったというイメージをもたれがちですが、父の姿を見て育った私からすると真逆のイメージです。父は地元の議員と付き合ったり、地元のスポーツショップのゴルフ同好会に入ってハワイまで一緒に遠征に行ったり、タクシーに乗ったときには名刺を配ったりと日頃から人脈づくりに骨を折っていました。ですから、昔も今も同じで待っているだけでは仕事は来ないです。

私たちの事務所ではあくまでも地域密着で地元の人との人間関係を大切にする昔ながらの泥くさい営業手法でやっています。顔の見える人間関係が基本であり、それが煩わしいという人には向かないかもしれません。

案件処理についても依頼人の気持ちに寄り添い、ほんとうに求めている結果は何なのかを探っていく必要があります。法律の知識も大事ですが法律の事案通りにならないことも多く、そういう場合は法律を使わず交渉だけで解決できることもあります。法律はあくまでも手段の1つであり、一筋縄ではいかないところを知恵を絞って解決していくことが面白いところでもあります。

訪問を終えて

司法試験に合格する極意など興味深く、あきらめずに挑戦することで道は拓けるということを体現されていて感銘を受けました。法律論ではおさまり切らない交渉術を駆使して依頼者の期待に応えていくことや、スマートに見えてじつは日頃から地元の人との人間関係を大切に地道な営業努力を欠かさない法律事務所の経営のたいへんさなどがよくわかりました。

事務所紹介

弁護士法人 前島綜合法律事務所
本厚木駅前事務所

住所:〒243-0014 神奈川県厚木市旭町一丁目27番1号 後藤ビル2階
TEL:046-229-0905
相模大野駅前事務所
住所:〒252-0303 相模原市南区相模大野4丁目5番5号 相模大野ロビーファイブ2階D棟204
TEL:042-749-1138
ホームページ:https://law-maeken.jp/

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